理学療法士である吉田直樹さんは臨床現場で患者治療をしてきた経験から、予防や健康増進のため独立してピラティススタジオを設立しました。理学療法士が病院から出て、独立した背景や想いを語っていただきました。臨床現場だけでなくスタジオで必要となる栄養学、そして食事管理のための知識の重要性について教えていただきました。
病院で患者様を診ることはとても大切なことです。僕も病院で多くの患者様と関わっていました。でも、健康そうに見えても、潜在的に理学療法を必要としている方がいるのではないかと感じるようになりました。
健康そうな方が少し身体の具合が悪くなったからと病院を受診しても、病院の理学療法だけでは根本的な解決が出来ないことも、多く経験しました。怪我や病気、具体的な例を挙げると「糖尿病になるのはなぜだろう」「通院や入院を繰り返してしまうのはなぜだろう」と考えたときに、病気になる前や悪化する前に、生活習慣を変えて予防していく活動が必要だという結論に至ったんです。それで、独立することを決断しました。
私と同様に、病院を退職する理学療法士も増えてきています。業界全体の流れとして必然なのかもしれません。日本の医療費が高騰し、診療報酬は厳しい状況ですから、理学療法士の給与も苦しくなってきています。今後のキャリアに悩み、どうにかするために独立される方が増えているのではないでしょうか。法整備の問題もあって、現実としては理学療法士の独立は難しい面もありますが、それでも選択肢として僕は「あり」だと思っています。
理学療法士の知識や技術は、一般の方へ正確に伝わっていないと感じています。理学療法と聞くと、マッサージが一般的にイメージしやすいようです。理学療法士とトレーナーとの違いを認識している方も少ないでしょう。それぞれの特性があり、理学療法士は医学に基づいた知識が豊富ですし、トレーナーは人への伝え方やコミュニケーションが本当に上手です。どちらがいい悪いではなく、お互いの良いところが混じり合って、長所を活かし、短所を補って学び合える関係性です。
しっかりと医学も学んだ理学療法士は、多種多様なデータを持って力を発揮しています。伝え方は難しいですが、僕は理学療法士の役割を世間に広げていきたいと思っています。
そのためには理学療法士として学んだ知識を世の中に伝えていくことが大事です。理学療法士も病院勤務や独立だけではなく、YouTuber、インスタグラマーなど様々な選択肢を持てるようになってきたと感じています。しっかりと学んだ人が一般の方に向けて情報を発信しやすい世の中になってきましたね。
僕は病院勤務時代から栄養学が必要だと感じていました。病院に入院している患者様の中には、栄養が足りていない患者様も多かったのです。
後輩から教えてもらったのですが、「リハビリ栄養」という言葉があります。栄養が足りていない方に筋トレの運動指導をしても、ガソリンがないのに走り出させるようなもので、運動してもまた悪くなるだけです。栄養が足りないから運動しても悪くなって、でも悪いから運動指導をして…という繰り返しが現場では起こってしまっています。本来ならリハビリができるように栄養状態を改善して、栄養状態も考慮しながら運動指導をする必要があるのです。そういった状況に危機感を持ちました。
僕は理学療法というパズルの中に、栄養学というピースがないこと自体が問題だと考えています。運動と栄養はセットで必要ですし、運動を診るのであれば栄養面も一緒に診ることが本来の理学療法だと思います。ただ、病院では分業になっていて、理学療法士は運動だけ、栄養士は栄養だけという状態です。残念なことに役割分担がうまく機能せず、連携が取れていない状態なのでしょう。
理学療法士が栄養学を深く学ぶことはスタンダードではありません。だから僕もずっと栄養学に対して苦手意識がありました。ビタミンAとかBとかCとかよく分からないし、栄養系の雑誌や論文を読んでも細か過ぎて分かりにくいですし(笑)
それでも僕たちの身体を作っているのは栄養なので、真剣に学びたいと思っていました。
ベジタブルテック代表の岩崎さんと偶然お会いしたことで、医学的で論理的で、王道の栄養学に出会った気がします。岩崎さんは管理栄養士ですが、医学博士でもあり、かなりたくさんの英語論文を発表されてきた実績があります。岩崎さんの、正しさと面白さを兼ね備えているというところに惹かれました。岩崎さんは本当に話が面白いのです。話が面白い人から学ぶ学問は基本的に面白いですし、勝手に自分の頭に入ってきます。例え正しい知識を持っている人であっても、話が面白くない人から学ぶ学問はなかなか頭に入りません。岩崎さんから栄養の本当の面白さを教えてもらったと思います。そこで僕は、膨大な栄養学のエビデンスを基礎から学んで実践できるようになる体系化されたカリキュラム「栄養コンシェルジュ」という資格を学び取得しました。「栄養コンシェルジュ」は学ぶための仕組みにも同じような面白さや良さがあり、どの講師の方にお話を聞いても面白い仕組みになっていますね。栄養コンシェルジュで栄養学を学んで特に感じたことは、「真理」に辿り着いた感じです。
栄養学の基礎であり根底であるという知識を習得できるため、それを考え方のベースにして、いくら応用が加わっても自分で噛み砕けるようになります。栄養に対して考える力が身につきました。
僕は「ビタミンCがたくさん入っているから摂りなさい」というような指導はあまり好きではないのです。こういった表面的な情報が『○○だけダイエット』のような宣伝につながると感じるからです。そうではなくて、人間の身体にはこういう仕組みがあって、食事を消化吸収するために消化器官が動いたりホルモンを分泌したりする、だからこれを摂取すると特定の反応が出るという、医学に基づいた栄養学を学べた点が非常に良かったです。
栄養についての知識は、教育の場にももっと広がっていって欲しいと願っています。僕は父親として2人の子どもたちに食事や栄養の大切さを教える難しさを感じながらも、小さな頃から当たり前のように栄養学を身につけることで、食の選択が上手になるのではないかと思っています。
栄養学で勉強したことを、お客様への伝え方にも活かしています。
医学的な栄養学を基本から学び、その情報をシンプルに伝えるだけで、お客様から「おおっ!」と思ってもらえることも多いですね。お客様の中には「自己流ダイエットでいいんじゃないかな?」「炭水化物を抜けば大丈夫でしょ」と思っている方もいらっしゃいますが、栄養の情報こそ正確で根拠のある情報を伝えてコミュニケーションを取ることが出来れば、信頼につながっている気がします。
食事の摂り方など食事全般について指導することもありますが、やはり皆さん、野菜の摂取量が少なくて、野菜不足をどう補っていくかという指導もしています。
僕は栄養学を学ぶにつれて野菜の大切さを深く理解しました。一般的に野菜は何となく大事だと思っている方がほとんどだと思いますが、栄養学を学ぶとより重要に思えるものでしたね。
太陽の光と大地で育まれたものが野菜ですから、それをいただくことは何の害もなく、身体にとってプラスとなる食べ物です。
僕は産地や育て方など、細かいことはあまり気にしていません。
野菜を食べることを意識することが重要だと思っています。
外食時にも野菜を意識して食べるようにしていますが、難しいですね。定食だとご飯と味噌汁があって、メインのおかずがあって、プラスで野菜が少し添えられているイメージです。
野菜はサブの食材になりがちなので、外食をすると「野菜が足りないな」と思うことが多いです。
それに、野菜が高いという問題や、普段料理をしない方はサラダ以外の調理が出来ないということもあります。サラダだけだとレタスやキュウリばかりで、緑黄色野菜が不足しがちです。
多くのクライアントさんでバランス良い食事や、特に野菜を食べるというのは苦労されている印象です。ご家庭では野菜が傷みやすく、長期間の保存に向かないため買い溜めにしくいことです。そして先ほどお伝えした通り、外食では意識的に野菜をメインとしたメニューを頼まなければ、容易に野菜不足に陥ります。
その点、ベジタブルテックの「飲む粉野菜」は、長期間の保存が可能です。軽くてコンパクトなのでどこにでも持ち運ぶことができ、いつでも手軽に野菜を補充できるので、栄養バランスを考えやすくすると思います。「飲む粉野菜」や「かける粉野菜」をきっかけに野菜を摂るという意識づけをしようというベジタブルテックのビジョンも素晴らしいと思います。社会的な課題である農家さんの困っていることと、消費者側の困っていることが同時に解決できるというコンセプトにも共感しています。
普段から野菜が摂れていない方や、気をつけていても野菜が不足しがちな方に「粉野菜」がもっと広がるといいと思います。
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